ペインクリニックが治療を行っている主な疾患

末梢血行障害

末梢血行障害とは

末梢血管が細くなることにより、皮膚や筋肉へ行く血流が少なくなるために生じる痛みとしびれのことです。

主な症状

手や足の先が冬になると冷たくなる程度のものから、重症になると皮膚に潰瘍を生じたり、指や足が黒くなって腐ってしまうものまで血管の状態により様々です。また重症のものでは、びりびりとした不快な痛みとしびれを伴い、とても満足な日常生活は送れなくなります。

主な治療方法

■自己管理 >禁煙 煙草に含まれるニコチンは強力な血管収縮作用があり、細くなった血管の血流はますます悪くなります。したがって煙草が止められない方は治療をしてもまったく意味がないといえるでしょう。一方、煙草を止めただけで症状の進行が止まることもありますので、自分でできる治療として是非禁煙をお勧めします。 ■薬物治療  症状の軽いものでは、血管拡張薬、血栓を予防する薬、鎮痛薬などが投与されます。しかし薬を長期間に渡って服用し続けると、副作用を生じることがありますので注意して下さい。また皮膚の色が変色したり、潰瘍を形成している場合は薬物だけでは不十分です。 ■交感神経節ブロック 麻酔薬を痛む神経や交感神経節に注入する事により鎮痛と血管を拡張させる治療法です。鎮痛を主にした治療は、硬膜外ブロックがあり、1回毎にブロック針を刺して硬膜外腔に薬を入れる方法と、硬膜外腔に細いビニールの管を入れて、24時間連続的に薬を注入して鎮痛する方法があります。 後者は入院して、潰瘍などがあり痛む患者さんの鎮痛と循環改善するために行います。その他に末梢神経ブロックがあります。 交感神経ブロックには星状神経節ブロック、胸部交感神経節ブロック、腰部交感神経節ブロックなどの種類があります。星状神経節ブロックは手の血行を改善する目的で行われます。このブロックの効果は2 ~3 時間であるため、軽症の血行障害の治療によく用いられます。ブロックの効果を長く保つためには、胸部または腰部の交感神経節ブロックを行います。交感神経節は、背骨の横を紐のように縦に走っていますが、ブロック針をレントゲンで位置を確かめながら交感神経節のあるところまで進めて行き、試験的に局所麻酔薬を注入します。局所麻酔薬で十分な効果が得られ、さらに副作用のないことが確認された後、長期間その効果が保たれるように高周波の熱を加えたり、薬を注入してブロックを終了します。ブロック終了は約2時間ベッドの上で同じ姿勢をしたまま動くことはできません。その後も約5時間ベッドで安静にしていただかなければなりませんが、食事をするのは差し支えありません。 この交感神経節ブロックの特徴は、手術とことなり入院期間が数日と短く、必要なら何回でも繰り返して行えることです。ブロック後の安静も短く、その日の夜から歩行も可能です。ブロックの効果は下肢で平均2 年、上肢で半年から1 年です。 ■手術療法  太い血管が閉塞(つまっている)している場合、手術によって血行を再開させることができます。閉塞性動脈硬化症では、しばしば閉塞した血管の代わりに人工血管をつないだり、血流をバイパスさせる手術が行われます。又は狭い血管に風船を通して血管を広げて、その後ステントという金属を使って血管を広げたままにする治療法もあります。 ■胸腔鏡下交感神経切除術  交感神経は血管を収縮させる神経ですが、それを手術的に焼くことで血管の拡張が期待できます。手術は、腋に小さな穴をあけて内視鏡で診ながら交感神経を切る手術を行います。ほぼ永続的な効果があります。 ■脊髄刺激装置埋め込み術  この手術は、硬膜外腔へ電極を埋め込むことによって、脊髄に弱い電気を流し、その刺激で痛みを和らげて血行をよくする方法です。 ■手足の切断  いかなる治療を行っても痛みが取れない場合、感染を起こしてそれがどんどん拡がるような場合に限り行われることがあります。しかし、切り取る部分を最少限にとどめなくてはなりません。そのためにも血管を拡張させる努力は併用して行われます。

出典元

NTT東日本 関東病院 ペインクリニック科|http://www.ntt-east.co.jp/kmc/senmon/pain_11.html

主な疾患例一覧

※すべてのペインクリニックで上記の疾患を扱っているわけではありません。 『全国ペインクリニック検索』で検索しホームページなどをご覧になった上で、 必ず事前に相談するか、または診療を受けてご判断ください。